都立中高一貫校の適性試験では、現在のところほとんどすべての学校で作文が出題されています。
この作文の対策のために、問題集に取り組んだり、添削指導や模擬試験を受けることは必須ですが、なかなか点数が伸びない場合もあるでしょう。
また、受験が近づいてくる時期には実力が拮抗してくるために、少しのミスが合否を左右することになります。
もう少し安定して点数を上げたい、という時に注意すべき点を確認しておきましょう。
【課題文の読み方】
都立中高一貫校の適性検査Ⅰの特徴は、
- 複数の論説文やエッセイ、対談、小説などを読んで、両者を関連付けながら内容を読み取り、説明や要約をする
- 上記の課題文をもとに作文を書く
といった二つの課題が含まれている、という点です。
この二つに対応するためには、まず正確に課題文を読むことが必要ですが、かなり長い文章なので手際よく読むことが大切です。
問題集などで練習をする際、どのくらいの時間で課題文を読めているのか時間を計ってみましょう。
受験の直前には、課題文をひととおり読む時間と、考えて解答を書く時間の配分を決めておくのも一つの方法です。
また、説明・要約の出題に対応するためには、筆者の主張とそれを説明する具体例の部分を分けて読むことが必要です。
筆者の言いたいこと、主要な部分に線を引いておくと全体を把握しやすくなり、説明・要約問題も書きやすくなります。
【説明・要約問題への対応】
説明・要約問題でよく見かけるのは、課題文の中に傍線が引いてあり、
「ここで筆者がこのように述べているのはなぜか理由を○○字以内で説明しなさい」
といった設問です。
ここで押さえておきたいポイントは、具体例や数値を必要以上に含めないということ。
筆者が様々な経験や統計に基づいて意見を述べていたとしても、その細かいところは省いて核心部分だけを書くことです。
具体例などを含めてしまうと字数が足りなくなったり、肝心な部分を押さえられなくなってしまうので、注意しましょう。
また、複数の課題文が与えられている場合、資料1に傍線が引いてあり、資料2の中からその説明を抜き出す、といったことが多くあります。
問題を解く前にこのような指示を丸で囲んでおく、書いた後にそれに従って書いているか確認する、といったことを習慣にしておくとケアレスミスを避けることができます。
説明・要約問題で大事なポイントとして、
「設問にはっきり答えるカタチになっているか」
という点があります。
「~と筆者が言っているのはなぜですか」
「~の理由を書きなさい」
などと聞かれているときは、
「~だから」という形で書くことが必要です。
「~はどのようなことだと筆者は言っていますか」
などと聞かれたら
「~ということ」
という形で書きましょう。
このようなことを意識することで文章として明確になるだけでなく、きちんと設問に対応した内容を選び出すことができるようになります。
子どもたちの中には、何か質問すると「単語」で答えるお子さんがいます。
「この日はどうして給食がないの?」と聞くと「短縮授業」と答える。
家庭の中ではそれでパッとわかりますが、それでは社会のなかでは通用しませんね。
できるだけ、きちんとした文章で説明するように日ごろから心掛けたいものです。
「この日は新入生の説明会があるから短縮授業なんだよ。だから給食がないの」といった会話ができるといいでしょう。
そのためには親としても、子ども相手だからと言って適当に単語で会話をしていないか、振り返ってみる必要があるでしょう。
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【作文で押さえたいこと】
中高一貫校の作文の傾向として「~の理由を示し」「~の例を書き」「それに対するあなたの意見を」といった細かい指示がある、という点が挙げられます。
この指示についても、一つずつ丸をつけて、これに沿って書くことや、書き終わったらその通り書けているかを確認させましょう。
また、「理由」を示す時にはここでも「なぜなら」「~から」をつけること。
「例」を描く時は「例えば~」と書き出すことなどを意識するとまとまりやすくなります。
また、400字以内といった指示に従うためには、コンパクトにまとめる工夫も必要です。書こうと思っていることについて、簡単にメモを取ってから書くことで手際よくまとめられるようになります。
例えば、「理由」「例」「意見」を求められていたら、そのそれぞれについて簡単にメモをとって、きちんと設問の指示に応えているかを確認してから解答用紙に記入していきましょう。
お子さんの中には、メモを取るというと下書きのようなしっかりした文をそのまま書いてしまう人もいます。「メモは自分で分かればいいのだから、簡単でいいんだよ」と教えてあげてください。
【漢字練習と原稿用紙の使い方】
適性検査では漢字の読み書きについての設問はありません。しかし、小学校で習う漢字を正確に使える、というのは必要なポイントです。
漢字を使わないでひらがなで書くと字数が足りなくなってしまう場合もあります。きちんと練習をしておきましょう。
また、採点者は一度に多くの答案を扱うため、読みにくいものはどうしても印象が悪くなります。
上手か下手かは別として、大きめの字ではっきりと書かれていることが望ましいと言えます。
用紙の使い方ですが、説明・要約問題では1マス1文字で書き、最初の1マス目から書き出すとよいでしょう。
作文の部分では通常の原稿用紙の原則に従うようにし、段落の最初は1マス空ける、行の最初に句読点が来てしまうときは、前の行の一番下のマス目に同居させる、といった注意を守りましょう。
正しい原稿用紙の使い方は絶対!
また、これまで小学校では会話文の場合、改行して書く、と習ってきたかもしれませんが、会話文もつなげて書くようにするとよいでしょう。
このような指示が、設問の中にふくまれていることも多いので、確認して戸惑わないようにしておきましょう。
適性試験という大きな壁に立ち向かっていく子供たちを、一歩前に進ませるためには、このような周到な準備も必要です。
加えて、「自分は大丈夫」という自信をつけてあげることが、主体性を求められる中高一貫校対策として重要ですし、合否にかかわらず、それが、今後の社会に生きる子供たちにとって必要なことと思います。
どうか、子供たちを「頑張っているね」と励まし続けてほしいと思います。
引用:[affi id=23]
コメント
コメント一覧 (2件)
都立中高一貫合格者で、現在塾講師をしています。
簡単なメモを作ってから作文を書くという点、非常に重要だと思います。やはり、何を書いてあるか分からない子は共通してメモ(下書き)を書かないです。頭の中で思いついた順番で書いていくから、書いてある内容が合格者の子とあまり変わらなくても文章の美しさで差が顕著にあわられますね。
励みになるコメント有難うございます。
やっぱり下書きメモは大事ですよねえ。